東邦大学理学部化学科 高分子化学教室 様

東邦大学は、1925年設立の自然科学系総合大学です。今回は、千葉県の習志野キャンパスにある、理学部化学科 高分子化学教室(研究室)に訪問させて頂きました。

高分子化学教室(教授の長谷川匡俊先生、講師の石井淳一先生)では、有機物として最高レベルの耐熱性をもつ高分子材料「ポリイミド」や「ポリベンゾオキサゾール」等の高性能・高機能化の研究を行っています。

石井先生

どのような研究を行っていますか?

高分子化学教室では、高分子材料「ポリイミド」等の高性能・高機能化の研究を行っています。例えば、次世代の耐熱性電気絶縁材料の開発を行っています。

ポリイミドの研究について教えて下さい。

ポリイミドとは、例えばフレキシブル(曲げられる)プリント配線基板(FPC)に使用されている材料の1つで、パソコンや携帯電話、デジカメになくてはならない重要な材料です。ポリイミドが有する特徴的な性質としては、次の2つが挙げられます。

・耐熱性…260℃を超える耐熱性(無鉛半田実装に耐える温度)
・熱に対する寸法安定性…無機物(銅やITO等の回路やシリコンウェハーなど)と積層するので金属に近い寸法安定性がないとさまざまな不具合が生じる(「反り」や「クラック」などが発生する)

私たちは、これらの特性を更に高めながら、従来では困難とされていた複数の性能(熱可塑性や透明性など)と機能(感光性や熱伝導性など)を同時に満たす新規な樹脂開発を目指しています。

研究を進める上で重要な測定の1つとしてフィルムの屈折率があります。ポリイミドの熱に対する寸法安定性は、ポリイミド分子鎖の面内に対する高度な配向が必要となります。試作したポリイミドは、配向に応じて複屈折が生まれるので、アッベ屈折計で、どれくらい配向しているか確認しています。

測定風景 アポリイミド

どのように試作するのですか?

高分子の材料であるモノマーを合成してから、溶媒中でそのモノマーを重合し、高分子を得ます。その後、ガラス板に塗り乾燥させると溶媒が飛んで高分子の膜が出来ます。必要に応じて熱処理を加え、試作フィルムとします。

複屈折を測定

物理化学実験とはどのような授業ですか?

3年生が履修する、実験授業です。約60人の学生が8つの実験を行います。一つの実験は、約4時間×2日間の8時間で行うようになっています。その中の一つに、屈折率の測定実験があります。

屈折率の測定実験を詳しく教えて下さい。

アッベ屈折計を5台使っております。3台は最近更新しました。2人一組の実験です。
実験は、大きく分けて3つの測定を行います。

1. 各種アルコールの屈折率測定

2. 「水とアルコール」および「ヘプタンとシクロヘキサン」の混合液の屈折率測定

3. フッ化カルシウム(固体)の屈折率測定

測定で用いるアッベ屈折計

1. 各種アルコールの屈折率測定

水と分子量の異なる10種類のアルコールの屈折率を測定します。アルコールは、1価(OH基が一つ)とします。この時の屈折率と分子量の相関をみてもらいます。分子量の逆数と屈折率に相関がある事が分かり、実験式を導く事ができます。実験式から未知のサンプルの屈折率を計算し、文献値と比較して考察します。

10種類のアルコール 分子構造
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※メタノール,エタノール,2-プロパノール,1-ブチルアルコール,n-ペンチルアルコール,n-ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,n-オクチルアルコール,n-ノニルアルコール,n-デシルアルコール

 

2. 「水とアルコール」および「ヘプタンとシクロヘキサン」の屈折率測定

「水とアルコール」、そして「ヘプタンとシクロヘキサン」の混合組成を0〜100mol%の間で細かく変化させて屈折率を測定し、屈折率と混合組成比の関係として加成性が成り立つかどうか確認します。2つの混合系では、大きく挙動が異なります。この現象について考察してもらいます。

※加成性…「2成分の混合液において、体積1:1で混合して2になることです。」
水とエタノールの間に は加成性は成立しません。 尚、水とエタノールのように加成性が成立しない理由としては、分子の大きさとともに、異分子間相互作用の強さも影響しています。


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3. フッ化カルシウム(固体)の屈折率測定

固体の屈折率を測定します。試験管にフッ化カルシウムを取ります。トルエンとヘプタンを同じ試験管の中で混合し、フッ化カルシウムが見えなくなった時、液体と固体が同じ屈折率になった事になります。この時の液体の屈折率をアッベ屈折計で測定して、固体の屈折率の解とします。
※弊社では、ベッケ線による固体の屈折率測定と読んでいます。

屈折率測定風景1 屈折率測定風景2
屈折率測定風景3 屈折率測定風景4

実際に屈折率を測定し、そこから相関を考察したり、加成性を検討したり、理論式を考察したりと、学生にとっては、創意工夫が出来るカリキュラムですね。

結果も出やすく分かりやすい実験です。考察も深い所まで行えるので、色々な実験レポートが出てきます。より深く考察してあるレポートや、実験結果中心のレポートもあります。とても熱心に実験しています。

石井先生、本日は詳しく説明くださり、有難うございました。これからも末永くご愛願のほど、宜しくお願い致します。また、長谷川先生、石井先生の益々の御活躍を祈念いたしております。

東邦大学理学部化学科 高分子化学教室 様ホームページ
http://www.chem.sci.toho-u.ac.jp/lab/polymerchem_lab/index.html

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