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データブック 粘度計-粘度の性質

粘度の性質

粘性は、物質によって性質が様々である

与える力が変わっても粘度が変わらないものを「ニュートン流体」と言い、与える力によって粘度が変わるものを「非ニュートン流体」と言います。
大きく分けると、純物質は概ねニュートン流体と言えます。 一方で、2種類以上の物質の混合物は、ほとんどが非ニュートン流体になります。

・ニュートン流体 ー与える力によって粘度が変わらないものー

水、蜂蜜、食用油、水あめ、砂糖水溶液、食塩水溶液、アルコールなど。

・非ニュートン流体 ー与える力によって粘度が変わるものー

バター、ケチャップ、マヨネーズ、ヨーグルトなど。

非ニュートン流体は、大きく分けて3つに分類される

ビンガム流体、擬塑性流体、ダイラタント流体に大きく分類されます。

① ビンガム流体(塑性流体)
 ー降伏値を持ちながら、流れ出すとニュートン流体のように一定の粘度となる流体ー

バターはナイフで力を加えるとトーストに塗ることができますが、ある程度の力を加えないと動き出すことはありません。このバターを流動させるために必要な力を降伏応力と言い、その値を降伏値と言います。降伏値を持ちながら、流れ出すとニュートン流体のように一定の粘度となる挙動を示すものを「ビンガム流体(塑性流体)」と言います。

② 擬塑性流体
 ー力を加えることによって粘度が下がる流体ー

力を加えることによって粘度が下がるものを「擬塑性流体」と言います。力を加えるまでは高い粘度を示すため、一見ビンガム流体のようですが降伏値は持ちません。身近な例では、マヨネーズやケチャップなどチューブ容器に入った食品の多くが擬塑性流体にあたります。また、擬塑性流体と似た挙動を示す流体でチキソトロピー※1というものもあります。

③ ダイラタント流体
 ー力を加えることによって粘度が上がる流体ー

ダイラタント流体は、擬塑性流体とは逆で、力を加えることによって粘度が上がる流体です。代表的なものとしては、片栗粉と水を1:1で混ぜ合わせたものがダイラタント流体にあたります。そーっと流すと水のように流れますが、素早く棒でかき混ぜると、ぎゅっと硬く締まって流れにくくなります。

④ チキソトロピー
 ー与える力だけでなく、時間経過に伴い粘度が変化する流体ー

チキソトロピーを示す流体は、力を加えることで粘度が下がります。この点では、チキソトロピーと擬塑性流体は似ているようですが、擬塑性流体との違いは、加える力だけでなく時間経過に伴い粘度が変化する点にあります。チキソトロピーは、一定の力を加えることで粘度が下がるが、下がった粘度がある一定時間放置すると元に戻る性質があるのです。例えば、ペンキは、かき混ぜることで粘度が下がり、ハケやローラーで壁に容易に塗布できます。塗布前にかき混ぜるのは、色ムラをなくすためだけでなくチキソ性を引き出し作業性を向上するためでもあるのです。塗布直後のペンキには、もう力は加わりませんから、粘度が上がって垂れずに乾燥します。「塗りやすく、垂れにくい」理想的なペンキは、チキソトロピーの性質をを上手く利用しているのです。