硝酸銀滴定法(モール法)は、サンプルに含まれる塩素の量を検出して食塩濃度に換算しています。 アタゴの塩分計は、濃度単位が重量/重量パーセントなのに対して、硝酸銀滴定法(モール法)は重量/容量パーセントです。 同じサンプルを測定した場合、アタゴの塩分計と硝酸銀滴定法(モール法) の測定値に差を生ずることがあります。
二つの測定値には相関がありますので、硝酸銀滴定法(モール法)の値に合わせるときは、サンプルの種類毎に、二つの測定値の換算グラフを作成すると便利です。
硝酸銀滴定(モール法や電位差滴定法)と電気伝導度(導電率)式の塩分計は、それぞれ測定方法が異なります。とくにNaCl以外の物質を含む測定においては、両者の測定値は一致しません。
硝酸銀滴定は、昔から塩分測定の方法として親しまれてきた方法ですが、用意する器具が多く、準備や片付けに時間も手間もかかります。また、装置が煩雑なため卓上での測定が必要で、現場に持ち運ぶことはできません。また試薬(硝酸銀)が必要となり、ランニングコストがかかります。加えて、硝酸銀の廃液処理など測定後の面倒が伴うことや、試薬を使うため調理現場では測定出来ないなどの欠点があります。一方、アタゴの電気伝導度式の塩分計は、器具は不要、試薬要らずで、調理現場などでもお使い頂ける利点があります。丸洗いできるので衛生面にも十分に配慮しております。
硝酸銀滴定(モール法や電位差滴定法)は、例えば、固形サンプルを測定する場合は単位がw/w(g/g)となり、液体サンプルを測定する場合は単位がw/v(g/ml)となるケースが多いです。
また、サンプルの前処理の有無によっても測定結果が異なってきます。例えば、塩化ナトリウム以外の塩素の分離処理や、硝酸銀に反応してしまう臭素やヨウ素の分離処理をしている場合などです。しょうゆの測定や海水の測定では、係数をかけて塩分濃度とする場合もあります。このように、アタゴの塩分計との差が出る場合は、測定された硝酸銀滴定の条件を今一度お確かめ下さい。
アタゴの塩分計(電気伝導度)は、サンプルに含まれる電解質成分全てを測定しています。塩化ナトリウム以外の成分が含まれる場合は、電解質の加算値を測定します。
このように、硝酸銀滴定においても、電気伝導度方式においても、塩化ナトリウム以外の成分が含まれる場合には、測定結果に影響があるため、それぞれの利点と欠点をご理解頂き、適材適所で活用される事をお勧めします。
硝酸銀滴定と電気伝導度方式では、塩化ナトリウム以外の成分を含む場合は、測定結果に違いが生じますので、サンプルの品種ごとに検量線を作っていただき補正を行うことをお勧めしております。
検量線作成の方法
換算グラフの作成方法の例を説明します。
塩分%が異なる検体、例えば調味料数点を硝酸銀滴定法(モール法)とPAL-SALTかES-421とで測定します。
モール法での測定値4.5%のときPAL-SALT/ES-421/ES-421で4.2%、モール法で5.9%のときPAL-SALT/ES-421/ES-421で5.5%、モール法で8.0%とのときPAL-SALT/ES-421/ES-421で7.0%…というように測定値を描き込んでいった結果、下のような点線になったとします。
これらの測定値から換算式(直線)を作成すると、y=1.24χ-0.78になります。
ここでχは「PAL-SALT/ES-421の測定値」、yは「モール法の測定値」です。
硝酸銀滴定法(モール法)の値に合わせるときは、上記のような換算グラフ又は換算式で補正してください。
アタゴの塩分計には、補正された値を直接表示するオフセット機能がついております。 具体的な操作方法は、取扱説明書に記載されております。